木材として使う木は、いつ伐採すると良いのか。
月齢伐採(新月伐採)の話がひとり歩きして、もっとも肝心な事が忘れ去られていることが多いです。先日、某テレビを見ていたら、新月伐採を行ったけどダメだったと言ってる方がいましたが、新月らへんに伐採しただけでは全く持って意味がありません!
月齢伐採(新月伐採)は先人から知恵の上に成り立っているものであり、その基礎がなければ何にもなりません!
その基礎ですが、主に3つあります。
1、木(杉)が養分(デンプン)の吸い上げが少ない秋冬に伐採を行う。
2、木(杉)が持っているデンプンを消費して、虫やカビ、腐りなどの抵抗物質を作り出す葉枯らしを行う。
3、木(杉)が本来持っている、人に対する香りの癒し効果、虫やカビに対する効果、強度的に強い粘り効果のある成分が出ていかない、低温や自然の乾燥を行う。
1の秋冬に伐採を行う事について、下記資料をご覧ください。
古い資料ですが、秋冬以外は木材の中にデンプン量が多い事が確認できます。木材の中にデンプンが多いと、虫やカビにとっては美味しい餌になります。
2の葉枯らし(葉枯らしとは伐採後、山の中で枝葉を付けたまま、置いておく乾燥方法)についてですが、昔は軽くなって木材の搬出が楽になるという要素が強かったのですが、最近の研究により、木(杉)がデンプンを消費してカビや虫、腐りに対して抵抗物質(ただし強力なものではなく擬似的な心材化)を作り出す事がわかってきました。
上記、写真2点は京都大学、樹木細胞学の高部教授の講演資料より。
3の乾燥方法についてですが、TSドライとしては断然「天然乾燥」をお勧めします。
上記、資料では高温による人工乾燥と天然乾燥の比較があります。
一番左の人工乾燥木材の断面を見ると黒い物質が流れ出てきているのがわかるかと思いますが、この物質は杉にとって、粘り強さ、カビや虫、腐りに対する抵抗力、人に対して血圧低下やリラックス効果を生み出す成分です。
それが出て行ってしまっているという事です。
人に対して血圧低下やリラックス効果を生み出す成分や乾燥方法による成分の変化については、林野庁から
の4P~や28Pに記載されています。
以上、3点についてでした。
ここから月齢伐採(新月伐採)スタートです。
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